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あの巨匠でも、筆の誤り?

保険代理店の弊社が、皆様にご案内したい判決情報をお届けいたします。
久方ぶりとなる今回は、判決情報ではなくお互いに協議して結論を出す「任意解決」事件として、稀な事件が報じられましたので取り上げました。
これは、新民法の大きな前進なのでしょうか?
世界的建築家の隈研吾氏が設計された、群馬県富岡市庁舎建築で採用された建築資材が腐食した事件の結論は、設計者である隈研吾氏と建築会社が修繕費用を負担することになったようです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f379f0913fcab442ce2f7d2c2512d9d95065b3f
以下、記事を引用・・・・
隈研吾事務所は報道各社に対し、
「負担する予定であることは事実です。不燃合板に注入された薬剤が及ぼす影響を厳密に把握出来ず材料選定を行ったことが原因の一旦であるからです」
と説明する。
もし「さび」や塗装はがれの原因が経年劣化や設計者・施工者の責に帰すべき内容でないのであれば、両者に責任はないと考えられるが、なぜ両者が修繕費用を負担する可能性が出ているのか。また、今回発生している事象は、軒裏の合板に使用された不燃薬剤の影響で金具に「さび」と膨張が発生し、軒の水切りを塞いでしまい雨水が屋根から軒裏に流れて雨染みが発生したというものだが、建築物ではよく起きることなのでしょうか?
全国にある隈氏の設計した建築物の老朽化問題が顕在化し始めたのは、昨年9月のことだった。栃木・那珂川町馬頭広重美術館が開館から24年を迎え、老朽化のため大規模改修を行うことになったのだが、その改修費用が約3億円かかることが判明し、規模が大きくはない那珂川町にとっては大きな負担となっている。この美術館は、安藤広重の肉筆画や版画をはじめとする美術品を中心に展示し、町の中核的文化施設とすることなどを目的として2000年に開館。木材を多く使用し、周囲の自然に溶け込むデザインが好評を博し、県外からも多くの観光客が来訪するが、竣工から数年後の時点で木は黒ずみ、劣化が目立つようになり、現在では木材は痩せて隙間が広がり、ところどころで折れたり崩れ落ちたりしている。まるで防腐処理やニス塗装なども行っていない木材を雨ざらしにしたような傷み方で、専門家からは材木の使い方に疑問が相次いでいたようです。
10月には、隈氏が設計した完成から9年が経過した京王線高尾山口駅(東京都八王子市)の駅舎もカビが目立つようになっていることが明るみに。さらに、高知県梼原町で隈氏がデザインした総合庁舎、町立図書館、まちの駅など、梼原産の杉を中心とした建築物で、表面が黒ずんだり、一部の木材にヒビが入るなど劣化が目立っていることがクローズアップされた。特に「雲の上のホテル」本館は老朽化のために2021年に、わずか27年で取り壊された。24年4月にリニューアルオープンを予定していたが、昨年計画が見直され27年7月のオープン見込みが発表されました。
●サビ発生の原因
「屋根に落ちた雨水が軒裏に回らないように屋根の先端には『水切り』という金具がつけられていますが、その長さが不足していた可能性が考えられます。また、法律上の定めによって大型の建築物は外壁部分に可燃性の部材を使用できないようになっており、富岡市の市庁舎の軒裏のベニヤ板にはその基準を満たすために不燃塗料が注入されているようですが、水溶性がある塗料だと水にぬれると溶けてベニヤ板から抜けしまいます。その抜け出た塗料が金具などと反応を起こしてサビが発生したのだと考えられます」との専門家の説明です。
●設計者の費用負担はイレギュラー
「設計者が修繕費用を負担するというのは、よくあることではありません。通常、設計事業者と発注者、施工事業者と発注者、各々の契約には瑕疵担保条項が入っていますが、屋根が腐朽するという事態は基本的には想定されないため、今回のケースはその対象外となっていると思われます。もし仮に隈研吾事務所が負担するのだとすれば、考えられるパターンは大きく2つです。建築士事務所は建築士賠償責任保険に入っており、今回の事案が補償の対象と認められたため隈研吾事務所が負担をすると申し出たかたちか、保険金の支払いの有無に関係なく、自ら責任があると認めて費用を負担すると申し出たかたちです。設計事務所の報酬はその建物の建設費全体の5~10%程度なので、もし修繕費用を負担すると設計による売上が吹き飛んでしまいます。ですので、隈研吾事務所としては、それでも費用を負担せざるを得ないと判断した、よほどの理由があったのかもしれません。
また、施工事業者も負担するとのことですが、施工事業者は建築士から言われるがままに建設を進めるわけではなく、『この設計や工法だと、このようなリスクがあるので、やめたほうがよい』などと意見を言いながら進めるものです。ですので、基本的には完成した建物に何が問題が発生した場合は『自分たちは建築士から言われるがままに建設しただけ』という言い訳はできないものです。今回の施工事業者も、自分たちに一定の責任があると認識しているのかもしれません」
以上、引用終わり・・・
2020年より改正民法として、瑕疵担保責任が契約不適合責任となったことで、今回の事件は債務不履行責任が求められたものと考えますが、誰が債務を負っていたか?と言う点で考えますと、設計者がその債務を負うと言う考え方がこれまで無かった訳ですが、今後の建築業界の新しいスタンダードになるのかもしれません。
ちなみに保険で対応できる可能性がある場合とは、背景として「予見不能」という事実関係が成立していなければなりませんが、あの巨匠でも予測出来ないことがあったのでしょうか?